正解は3、4

解説

【生物】
1 誤。交感神経の興奮により、洞房結節ではβ1受容体の刺激を介してプロテインキナーゼA(PKA)が活性化される。活性化されたPKAは、細胞膜に存在するL型Ca2+チャネルをリン酸化し、細胞内へのCa2+流入を促進させる。その結果、洞房結節の活動電位の発生頻度が上昇し、心拍数が増加する。
2 誤。洞房結節における4相(緩徐脱分極相)の電位変化は、主にT型Ca2+チャネルの開口による細胞内へのCa2+流入に起因する。心筋のCa2+チャネルには、長時間Ca2+電流が発生するL(long-lasting)型と一過性にCa2+電流が発生するT(transient)型がある。T型Ca2+チャネルによってCa2+が少しずつ細胞内に流入すると細胞内外の電位差が小さくなり、これが刺激となってL型Ca2+チャネルが開口する。一方、固有心筋(心房筋、心室筋)の活動電位の立ち上がりは、Na+チャネルの開口による細胞内へのNa+流入に起因する。
3 正。洞房結節における0相(脱分極相)の電位変化は、L型Ca2+チャネルの開口による細胞内へのCa2+流入に起因する。
4 正。洞房結節における3相(再分極相)の電位変化は、K+チャネルの開口による細胞外へのK+流出に起因する。
5 誤。心室筋の収縮や弛緩は、心室筋細胞の膜電位変化によるため、洞房結節の電位変化により、直接心室筋が収縮や弛緩をするわけではない。洞房結節は、正常時の心拍リズムを形成するペースメーカーとして機能し、発生した興奮は心房筋に伝わり、心房が収縮する。その後、興奮は心房筋から房室結節、ヒス束、左脚・右脚、プルキンエ線維を経て心室筋へと伝わり、心室を収縮させる。