【実務】
COPD(慢性閉塞性肺疾患)は、喫煙や遺伝素因などによる有害物質の吸引の結果、肺の炎症が起こり、慢性進行性の閉塞性換気障害をきたす疾患である。本症例は、38.1℃の発熱、肺ラ音が認められることから、肺炎を発症していると推定される。治療については、原因微生物が同定されていないため、経験的治療(Empiric
therapy)を行う。
JAID/JSC感染症治療ガイドラインによると、市中肺炎の経験的治療については、肺炎球菌やインフルエンザ菌など一般的な細菌が原因となる細菌性肺炎が推定される場合とマイコプラズマやクラミジアなど一般的な細菌と異なる細菌が原因となる非定型肺炎が推定される場合で推奨される治療法が異なる。
細菌性肺炎の治療については、外来治療の場合は、βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系薬やニューキノロン系薬の経口剤、入院治療の場合は、βラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン系薬、セフェム系薬、ニューキノロン系薬の注射剤が推奨されている。
また、非定型肺炎の治療については、外来治療の場合は、マクロライド系薬、テトラサイクリン系薬の経口剤、入院治療の場合は、マクロライド系薬、テトラサイクリン系薬、ニューキノロン系薬の注射剤が推奨されている。
問題文から、本症例は注射剤による入院治療を行うことは判断できるが、細菌性肺炎であるか非定型肺炎であるかは判断できない。選択肢にある薬剤のうち、細菌性肺炎あるいは非定型肺炎に推奨されているのはマクロライド系薬であるアジスロマイシン水和物とペニシリン系薬であるベンジルペニシリンカリウムであるが、ベンジルペニシリンカリウムはβラクタマーゼ阻害薬との配合剤ではないため、選択肢中の薬剤として、最も適切なのはアジスロマイシン水和物であると考えられる。
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チオトロピウム:スピリーバ
サルメテロールキシナホ酸塩:アドエア