正解は 2、3

【実務】
 高齢者は、加齢に伴う皮膚バリア機能の低下に伴い、皮膚疾患を発症しやすい。本症例では、角化型疥癬の診断がなされているが、これはヒゼンダニ(疥癬虫)が皮膚に寄生することで発症する皮膚病である。

1 誤。角化型疥癬では、多数のヒゼンダニが患者の皮膚角質層内に存在するため、肌と肌の直接接触の他、剥がれた角質層が飛散・付着することにより感染が成立することがある。
2 正。ヒゼンダニは乾燥や熱に弱い(50℃、10分間の処理で死滅する)。そのため、リネン類は50℃以上のお湯に10分以上浸すか、大型の乾燥機で20〜30分間の処理、またこれらの方法が取れない場合には、リネン類をビニール袋に入れて口をしっかりと締め、2、3日放置した後に洗濯をしてもよい。
3 正。疥癬は、治療により「治癒」と判定しても数ヶ月後に再度「疥癬」と診断される症例(再感染・再燃)が少なからず見られる。特に高齢者では高率で再燃するので注意を要する。
4 誤。イベルメクチンは、原則的に確定診断がついた患者に治療目的で投与する。その患者と接触の機会があり、疥癬様の症状がある者に予防的に投与をすることはあるが、安易な予防的投与や大量使用は避けるべきである。