正解は 3、5

解説

【衛生】
1 誤。グルタチオン抱合の供与体であるグルタチオンは、グリシン、システイン、グルタミン酸からなるトリペプチドである。グルタチオン抱合は、グルタチオンのシステイン残基(SH基)が求核性を有するため、基質の電子密度の低い部分(求電子部位)に結合する抱合反応である。
2 誤。グルタチオン抱合は、一部、非酵素的に進行するが、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)によって触媒される抱合反応である。グルタチオンペルオキシダーゼは、過酸化水素を水に分解する酵素である。
3 正。エポキシドやハロゲン化合物などの電子密度が低い部位をもつ異物は、GSTによってグルタチオン抱合を受ける。グルタチオン抱合体は、尿中に排泄されるまでに肝や腎で加水分解され、グリシンやグルタミン酸が離脱し、システイン抱合体となる。さらにシステイン抱合体は、N-アセチルトランスフェラーゼによってアセチル化されることで、最終的にメルカプツール酸(N-アセチルシステイン抱合体)へと代謝され、主に尿中排泄される。
4 誤。アセトアミノフェンはグルクロン酸抱合などによる解毒の他に、シトクロムP450(CYP2E1)によってN-水酸化された後、N-アセチル-p-ベンゾキノンイミンを生成する。N-アセチル-p-ベンゾキノンイミンは、通常、グルタチオン抱合を受けて不活性化されメルカプツール酸となり尿中に排泄される。しかしながら、大量に摂取した場合は、グルタチオンの枯渇が生じ、抱合されなかったN-アセチル-p-ベンゾキノンイミンが細胞内の生体高分子と結合し、肝障害を生じる。