【生物】
1 正。腸管出血性大腸菌(EHEC)が産生するベロ毒素(志賀毒素様毒素)は、リボソームの28SrRNAのアデニンを切り出すN-グリコシダーゼ活性をもち、タンパク質合成を阻害する。その結果、血管内皮細胞が傷害され、出血性大腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)などを引き起こす。
2 誤。コレラ菌が産生するコレラ毒素は、Gsタンパク質中のGTPaseをADPリボシル化することで、GTPからGDPへの分解を抑制し、アデニル酸シクラーゼの持続的な活性化を介して細胞内cAMP濃度を上昇させる。その結果、腸粘膜からの水分の分泌亢進による水溶性の下痢が生じる。
3 誤。ボツリヌス菌が産生するボツリヌス毒素は、神経筋接合部や自律神経節に作用し、神経伝達物質であるアセチルコリン(ACh)の遊離を抑制することで、筋弛緩性麻痺を引き起こす。
4 正。一般にグラム陰性菌の細胞壁は、薄いペプチドグリカン層と外膜で構成される。外膜の構成成分であるリポ多糖は、内毒素(エンドトキシン)の本体であり、その病理的な生理活性を示すリピドAとよばれる高分子の脂質と、それに結合した多糖部分からなる。
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