正解は 2 スピロノラクトン

 

【病態】
 血清カリウム値の低下、血漿レニン活性の低下、血漿アルドステロン濃度の上昇、他の生化学的検査値に異常を認めないことから、原発性アルドステロン症であると考えられる。原発性アルドステロン症の患者では、アルドステロンの過剰分泌が起こる結果、高血圧、低カリウム血症、代謝性アルカローシスをきたす疾患である。また、負のフィードバック機構により、レニン活性は低下していく。

1 誤。トリクロルメチアジドは、腎尿細管におけるナトリウムと塩化物イオンの再吸収を抑制し、水の再吸収を抑制する。また、カリウム排泄を増加させ、低カリウム血症を引き起こすため、本患者には使用しない。
2 正。スピロノラクトンは、腎尿細管遠位部でアルドステロンの作用を拮抗的に抑制し、ナトリウム、水の排泄を増加させ、カリウムの排泄を減少させる。原発性アルドステロン症の症状改善などを目的として投与される。
3 誤。アリスキレンフマル酸塩は、直接的レニン阻害薬であり、アンギオテンシンI及びIIの濃度を低下させ、持続的な降圧効果を発揮する。レニン活性が低下している本患者への投与は望ましくない。
4 誤。本疾患では、副腎皮質に発生した腫瘍によりアルドステロン分泌が過剰となっているため、アンギオテンシンII AT1受容体遮断薬(ARB)であるバルサルタンの投与によりアルドステロン分泌を抑制することはできない。そのため、本剤の投与は適切であるとは考えにくい。
5 誤。リシノプリル水和物はアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬であり、本疾患における降圧薬としては適切ではない。