正解は 2、4

 

【物理】
1 誤。赤外線は紫外線よりも長波長で、エネルギーの小さい電磁波である。
2 正。化合物による赤外線吸収は、官能基の双極子モーメント変化を伴う振動に対し観測され、吸収された赤外線のエネルギーは、主に分子振動のエネルギーに変換される。
3 誤。赤外吸収スペクトル法も紫外可視吸光度法同様、ランベルト-ベール(Lambert-Beer)の法則が成立する。ランベルト-ベールの法則は、希薄溶液において、吸光度が濃度及び層長に比例するという法則であり、光吸収を伴う物質の定量法に用いられている。
4 正。13C12Cは同位体であり、13CO212CO2の逆対称伸縮振動における赤外吸収は、13C12Cの質量数の寄与を考慮すると、13Cの方が低波数側に検出される。伸縮振動数に対する帰属は近似的にフックの法則が応用でき、2つの原子とそれらを結ぶ結合は、バネでつながれた2つの原子からなる振動子としてイメージができる。このイメージによれば、13C12Cよりも質量数が大きく、振動が緩やかである。
5 誤。12CO2による2350 cm-1付近の赤外線吸収は、特性吸収帯に含まれる。特性吸収帯とは約1500 cm-1以上の波数領域を表し、水酸基やカルボニル基など官能基に起因したスペクトルが観測される。一方、指紋領域とは約1500 cm-1以下の波数領域を表し、分子構造に特有のスペクトルが観測される。
 二酸化炭素分子12CO2は、対称伸縮振動と逆対称伸縮振動を示す。二酸化炭素分子の対称伸縮振動は、2つのCO結合が対称に振動しており、分子の双極子モーメントに変化が生じないため、赤外不活性となる。一方、二酸化炭素分子の逆対称伸縮振動は、2つのCO結合が逆位相で伸縮振動しており、分子内双極子モーメントに変化が生じるため、赤外活性となる。
 二酸化炭素分子の逆対称伸縮振動による赤外吸収波数は、2350 cm-1付近となり、この吸収を確認することで12CO2の測定ができる。