【生物】
1 誤。補体は、主に肝臓などで産生され、常時血液中に存在する一群のタンパク質の総称である。抗原刺激を受けたB細胞から産生されるのは、免疫グロブリン(抗体)である。
2 誤。補体は、一般的なタンパク質と同様、それらの遺伝子が再構成されて多様性をもつことはない。また、補体による抗原認識は抗原非特異的であり、抗体は多様な抗原特異性を有する。遺伝子再構成により多様な抗原特異性を獲得するのは、獲得免疫に関与する抗体やT細胞受容体である。
3 正。補体の分解生成物のC3aやC5aなどは、アナフィラトキシンとよばれる。アナフィラトキシンは、好塩基球や肥満細胞に結合してヒスタミンなどの化学伝達物質を遊離させることで、血管透過性を亢進させる。
4 正。補体の分解生成物のC3bは、オプソニン化作用を有する。C3bが病原体に結合することで、食細胞(マクロファージ、好中球)による病原体の取り込みが促進される。
5 誤。抗体には、タンパク質分解酵素としての活性はない。補体の活性化経路には古典経路、第2経路、レクチン経路があり、このうち抗体が関与するのは古典経路である。古典経路による補体の活性化は、まず病原体表面に結合した抗原抗体複合体のFc部に、補体成分であるC1qが結合し活性化されることで始まる。次に、活性化されたC1qに、C1rとC1sが結合し複合体を形成した後、活性化されたC1sが、C4をC4aとC4bに分解することで、補体成分が連鎖的に活性化される。
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