【生物】
模式図は、生体由来タンパク質XをELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)により定量する原理を表している。
手順(1):プレートの底面(固相)に抗体Aを吸着(不溶化)する。
手順(2):吸着した抗体Aの可変部にタンパク質Xを結合させる。
手順(3):抗体Aに結合したタンパク質Xに、抗体B(酵素標識抗体)を結合させる。
手順(4):酵素基質が、抗体Bの酵素により酵素反応生成物に変換される。
1 誤。抗原のエピトープ(抗原決定基)と抗体の可変部は、非共有結合により可逆的に結合する。
2 誤。抗原と抗体の結合は、特異性が高いため、測定対象であるタンパク質Xをあらかじめ精製しなくても測定は可能である。ただし、血液や尿などの生体成分中には、タンパク質Xと類似する構造を有し、抗体Aの可変部と結合する(交差反応)物質が含まれる可能性がある。イムノアッセイでは、夾雑物質による交差反応を考慮して操作を行う必要がある。
3 正。ELISAは、主にサンドイッチ法で行われるため、抗体Aと抗体Bは、タンパク質X中の異なるエピトープにそれぞれ結合する必要がある。よって、タンパク質Xのように複数のエピトープを有する高分子抗原の測定には有効であるが、複数のエピトープを有さない低分子抗原(ハプテン)の測定には不向きである。
4 正。ELISAでは、特定量のタンパク質を吸着するプラスチック製のプレートを用いる。そのため、手順(1)で抗体Aをプレートに吸着させた際、抗体Aの付着しなかった部分には無関係なタンパク質を付着させる。これにより酵素標識抗体である抗体Bのプレートへの付着を阻止することができる(ブロッキング)。
5 誤。タンパク質Xの量が増加すれば、タンパク質Xに結合する抗体Bの量も増加するため、プレート内の酵素量も増加する。これに伴って酵素反応生成物量も増加する。
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