【【生物】
褥瘡は、一般に長期にわたり同じ姿勢を保つ状態となった際、長時間局所へ荷重がかかることで皮膚組織などが虚血状態となり、組織の壊死から潰瘍などが形成されることで生じる。また、慢性期の深い褥瘡は、創傷部に黒色壊死組織が見られる黒色期(1)、黒色壊死組織が取り除かれ不良肉芽の露出や滲出液の産生が盛んになる黄色期(2)、線維芽細胞や血管に富む肉芽が露出する赤色期(3)、そして上皮組織が再生され創傷部が塞がる白色期(4)の4つの段階を経て治癒する。
創傷部の組織を補充する肉芽は、創傷部に遊走された多くの線維芽細胞と細胞外マトリックスの主要構成成分であるコラーゲン、さらに血管新生により増加した毛細血管を豊富に含む結合組織の一種である。
1 正。黄色期(2)と赤色期(3)では、創傷部周囲の真皮などに存在する線維芽細胞が創傷部に移動(遊走)し、増殖することで結合組織の一種である肉芽が形成される。
2 正。赤色期(3)では、肉芽に集積した線維芽細胞が、細胞外マトリックスの構成成分であるコラーゲンを細胞外に分泌し、肉芽を増生する。
3 誤。一般に、表皮には血管は分布しておらず、血管新生が見られない。褥瘡の治癒過程において、創傷部にコラーゲンや線維芽細胞を含む肉芽が形成され、その肉芽内部で毛細血管の新生が起こる。肉芽で新生された毛細血管は、創傷部の組織に栄養や酸素を供給し、治癒を促進させる。
4 誤。白色期(4)では、表皮に含まれる基底層の細胞が増殖し、増生した肉芽の表面で上皮が再生される。
5 誤。ケラチンを合成する細胞(ケラチノサイト)は、主に表皮に存在する。表皮の基底層で細胞分裂により増殖したケラチノサイトは、表層に向けて押し上げられ、有棘層、顆粒層、淡明層を経て角質層に達する。皮下組織は、真皮のさらに深層に位置し、多くの脂肪細胞を含む。
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