正解は 1、5

【実務】
1 正。Aは試料pHが2.8であることから、酸性注射剤のブロムヘキシン塩酸塩注射剤であり、Bは試料pHが9.4であることから、塩基性注射剤のフロセミド注射剤である。
2 誤。緩衝性を判断する場合、移動指数を比較する。移動指数が小さい注射剤は、緩衝性が強いと判断できる。Aの注射剤(ブロムヘキシン塩酸塩注射剤)の酸性領域における移動指数は1.5、塩基性領域における移動指数は1.9である。それに対して、Bの注射剤(フロセミド注射剤)の酸性領域における移動指数は3.1、塩基性領域における移動指数は3.3である。A、Bの移動指数を比較すると、酸性領域、塩基性領域どちらにおいてもAの移動指数が小さい値である。よって、緩衝性が強いのはAの注射剤である。
3 誤。試料pHが2.8の酸性注射剤と、試料pHが9.4の塩基性注射剤が輸液ライン内で混合された場合、pHは、2.8以上9.4以下となる。
4 誤。2剤を混合した際のpHは、2.8 - 9.4となる。変動スケールから読み取ると、pHが2.8 - 9.4ではどちらかの注射剤が白濁する可能性がある。同一の側管を介して投与すると、側管内に残留したフロセミド注射剤とブロムヘキシン塩酸塩注射剤が反応し、白濁を生じる可能性がある。
5 正。同一の側管を介して投与すると、側管内に残留した注射剤と続けて投与する注射剤が反応して白濁を生じる可能性があるため、それぞれの注射剤投与前後に生理食塩液等を流し、側管内に注射剤が残留しないようにする必要がある。

■pH変動スケールについて
 pH変動スケールとは、pH変動試験を図式化したもので、医薬品インタビューフォームに記載がある。pH変動試験は、試料に酸又は塩基を少しずつ滴下し、試料の外観変化を確認する試験であり、試料に外観変化が見られた際のpHを変化点pHといい、スケールにはその際のpHと滴定した酸又は塩基の量を記載する。また、試料に酸又は塩基を最大で10 mL滴下して外観変化が見られない場合は、10 mL滴下した際のpHを測定し、最終pHとしてスケールに記載する。また、移動指数とは、緩衝性を判断する際の指標となり、変化点pHと試料pHの差の絶対値もしくは、最終pHと試料pHの差の絶対値である。緩衝性の強い薬物は、移動指数が小さくなる。