【実務】
本患者が服用している総合感冒薬に含まれるd-クロルフェニラミンマレイン酸塩は、第一世代H1受容体遮断薬であり、抗コリン作用を示す。また、三環系抗うつ薬であるイミプラミン塩酸塩錠も抗コリン作用を示すため、両薬物を併用することで尿閉などの排尿障害が現れることがある。
以上のことから、本患者の処方薬の中で、総合感冒薬と併用することで排尿障害が増悪する可能性の高い薬剤は、イミプラミン塩酸塩錠であると考えられる。
なお、カンデサルタン口腔内崩壊錠は、AT1受容体遮断薬であり、高血圧症などに用いられる。また、シタグリプチンリン酸塩水和物錠はDPP-4阻害薬であり2型糖尿病に、ボグリボース錠はα-グルコシダーゼ阻害薬であり糖尿病の食後過血糖の改善に用いられる。さらに、リバスチグミン経皮吸収型製剤は、アセチルコリンエステラーゼ及びブチリルコリンエステラーゼ阻害薬であり、軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制に用いられる。
〔上述の他に総合感冒薬には、アセトアミノフェン(解熱鎮痛薬)、ジヒドロコデインリン酸塩(鎮咳薬)、dl-メチルエフェドリン塩酸塩(交感神経興奮様薬)、無水カフェイン(中枢興奮薬)が含まれている。〕
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