正解は 1、4

解説

【実務】
 乳がんの発症には女性ホルモンが密接に関わっており、エストロゲン産生において閉経前では卵巣から、閉経後では副腎よりアロマターゼを介した経路がある。また、HER2の過剰発現が認められると、がん細胞の増殖が速い傾向にあるため、治療薬の選択において閉経前や閉経後、受容体数などにより推奨される薬物を確認しておく必要がある。

1 正。アナストロゾールは、アロマターゼ活性を阻害することにより、アンドロゲンからエストロゲン生成を阻害し、閉経後乳がんに適応がある。
2 誤。ビカルタミドは、前立腺腫瘍組織のアンドロゲン受容体に対するアンドロゲンの結合を阻害するため、前立腺がんに適応があり、乳がんに対する適応はない。
3 誤。リュープロレリン酢酸塩は、反復投与で下垂体においての性腺刺激ホルモンの産生・放出を低下させることにより、閉経前乳がん及び前立腺がんに適応がある。
4 正。タモキシフェンクエン酸塩は、乳がん組織などのエストロゲン受容体に対してエストロゲンと競合することにより、閉経前・閉経後乳がんに適応がある。
5 誤。トラスツズマブは、HER2に結合した後、NK細胞、単球を作用細胞とした抗体依存性細胞障害作用(ADCC)により抗腫瘍効果を発揮するため、HER2過剰発現が認められた乳がん及び胃がんに適応がある。本患者はHER2陰性であることより、トラスツズマブの投与は適切ではない。