【治療】
HIV感染症は、HIV感染によってCD4陽性T細胞が減少し、免疫系が徐々に破壊されていく進行性の疾患であり、特異的な日和見感染症や脳症を合併する。単にHIVに感染した状態をHIV感染といい、AIDS指標疾患を合併した場合はAIDS発症と定義されている。
1 誤。HIVは、HIV感染者の血液、精液、膣分泌液、唾液、母乳、尿、涙などの体液の他、組織や臓器に含まれている。主な感染経路は、性行為感染、母子感染(経胎盤、経産道、経母乳感染)、血液媒介感染である。
2 誤。HIV感染症は、急性感染期、無症候期、AIDS発症期の自然経過をたどる。感染後数週間は急性感染期とよばれ、発熱、倦怠感などのインフルエンザ様症状が出現する。その後、感染から6
- 8週で血中に抗体が産生されると、ピークに達していたウイルス量は6 -
8ヶ月後にある一定のレベルまで減少し、定常状態となり、その後数年から10年ほどの無症候期に入る。最終的に免疫力低下の結果、日和見感染症や脳症を合併した状態がAIDS発症期である。
3 正。HIV感染後、約半数は2 - 4週間後に急性感染症(発熱、倦怠感などのインフルエンザ様症状)が出現するが、通常数週間で回復する。
4 正。HIV感染では、CD4陽性T細胞が死滅し減少する。CD4陽性T細胞数200/μL以下では明らかな免疫不全の症状を呈することが多いため、HIV感染症診断時にCD4陽性Tリンパ球数が350/μL以下の症例やAIDSを発症している症例は、条件が整い次第、なるべく早期に抗HIV治療を開始する。
5 誤。CD4陽性T細胞数200/μL以下となり、日和見感染症、カポジ肉腫、HIV脳症などを発症する時期がAIDS発症期である。AIDS発症期はHIV感染後、約10年後である。
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