【薬理】
1 誤。アセチルコリンは、血管平滑筋のM3受容体を刺激し、細胞内のジアシルグリセロール(DG)とイノシトール1,4,5-三リン酸(IP3)を増加させて血管収縮作用を示す。また、フェニレフリンは、選択的α1受容体刺激薬であり、血管収縮作用を示すため、両薬物の作用する標的分子は異なるが、作用は相反しない。なお、アセチルコリンは血管内皮細胞のM3受容体を刺激すると、Gqタンパク質を介して一酸化窒素合成酵素(NOS)が活性化され、血管拡張作用を示す。
2 誤。アセチルコリンは、瞳孔括約筋のM3受容体を刺激し、瞳孔括約筋を収縮させて縮瞳を起こす。また、ネオスチグミンは、コリンエステラーゼ(ChE)を阻害し、アセチルコリン量を増加させることで、間接的に瞳孔括約筋のM3受容体を刺激して縮瞳を起こすため、両薬物の作用する標的分子は異なるが、作用は相反しない。
3 正。アセチルコリンは、気管支平滑筋のM3受容体を刺激し、気管支収縮作用を示す。また、イソプレナリンは、非選択的β受容体刺激薬であり、気管支平滑筋のβ2受容体を刺激して気管支拡張作用を示す。そのため、両薬物は作用する標的分子が異なるとともに、相反する作用を示す。
4 誤。アセチルコリンは、骨格筋のNM受容体を刺激し、骨格筋収縮作用を示す。また、ツボクラリンは、競合的NM受容体遮断薬であり、骨格筋弛緩作用を示すため、両薬物の作用は相反するが、作用する標的分子が同じである。
5 正。アセチルコリンは、骨格筋のNM受容体を刺激し、骨格筋収縮作用を示す。また、ダントロレンは、筋小胞体膜のリアノジン受容体に結合し、筋小胞体からのCa2+放出を抑制して骨格筋弛緩作用を示す。そのため、両薬物は作用する標的分子が異なるとともに、相反する作用を示す。
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