【衛生】
1 正。妊娠初期にサイトメガロウイルスに初感染すると、胎盤を通して20 -
40%の頻度で胎児に感染することがあり、新生児の低出生体重、黄疸、小頭症、脳内石灰化、肝脾腫、出血斑、難聴、発達遅延、DICなど多岐にわたる症状の原因となる。
2 誤。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のワクチンは実用化されておらず、ワクチン接種による予防はできない。HIVの感染母体及び出生児への抗ウイルス薬の投与、帝王切開、人工授乳(母乳を与えない)により、ほぼ感染を防ぐことができる。
3 誤。B型肝炎キャリアの母親(HBs抗原陽性かつHBe抗原陽性)から生まれる児は、ほぼ100%、B型肝炎ウイルスに母子感染する。出生した児がキャリア化しないように、B型肝炎母子感染防止対策では、出生した児に対してB型肝炎ヒト免疫グロブリン(抗HBs抗体:HBIG)とHBワクチン(HBs抗原)の投与を行う。
4 正。妊娠初期に風疹ウイルスに初感染すると、胎内感染(経胎盤感染)により難聴、心疾患、白内障などの先天性風疹症候群の児が生まれてくる可能性がある。風疹の感染予防には予防接種が効果的であるが、原則、妊娠中には予防接種を受けることができないため、妊娠を予定又は希望する女性は、妊娠前に風疹に対する免疫があるか抗体検査を行うことが推奨されている。
5 誤。トキソプラズマ症に対するワクチンは、実用化されていない。妊婦がトキソプラズマに初感染した場合、胎盤を通して胎児に感染して先天性トキソプラズマ症を発症することがあり、水頭症、網脈絡膜炎による視力障害、脳内石灰化、精神運動機能障害などの原因となる。病原体のトキソプラズマ原虫は、ネコの糞便中などに存在するため、ネコとの接触や土壌からの感染、加熱不十分な食肉の摂取が主な感染経路となる。
〇