正解は 5 血液透析

解説

【実務】
 ホウ酸は、ゴキブリやアリの駆除に使用される。ホウ酸中毒の症状として青緑色の吐物・下痢便などの消化器症状や紅斑様発疹などがあり、重症の場合には、痙れんや腎臓の障害を起こす。

1 誤。胃洗浄は、毒性物質が胃内に存在していると推定できる場合に適応されるため、ホウ酸摂取後1時間以内が有効であり、5時間以上経過している本症例においては、有効性は低い。
2 誤。活性炭は、毒性物質と結合することにより、毒性物質の吸収を抑制するが、無機酸であるホウ酸はほとんど吸着されないため有効性は低い。また、本症例はホウ酸摂取から5時間以上経過しており、ほとんど吸収されて血液中に移行していると考えられるため、活性炭の有効性は低い。
3 誤。プラリドキシムヨウ化物(PAM)は、有機リン剤の中毒治療に用いられる。
4 誤。クエン酸マグネシウムは、腸管運動を亢進させることにより、毒性物質の腸管内での排泄を促進する。また、毒性物質が胃内に存在していると推定できる場合に適応されるため、ホウ酸摂取後1時間以内が有効であり、5時間以上経過している本症例においては、有効性は低い。
5 正。血液透析は、血液中の物質の除去に適用され、分布容積が小さく血漿タンパク質にほとんど結合しない中毒物質などの除去に有用である。本症例はホウ酸摂取から5時間以上経過しており、ほとんど吸収されて血液中に移行していると考えられるため、血液透析の有効性は高い。