【衛生】
1 誤。水平感染とは、接触感染や飛沫核感染など一般的な感染におけるヒトからヒトへの伝播の様式をいう。一方、垂直感染(母子感染)とは、母親から胎児又は新生児に病原体が直接伝播する感染様式をいう。
2 誤。ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、母子感染する。HIVは体液(血液、精液、性器分泌液、唾液など)や母乳中に存在し、主に性的接触による感染、輸血や血液製剤を介した感染、母子感染の3つの経路により感染する。HIVの母子感染経路は経胎盤、経産道、経母乳感染が知られている。
3 正。B型肝炎キャリアの母親(HBs抗原陽性かつHBe抗原陽性)から生まれる児は、ほぼ100%の確率でB型肝炎ウイルスが母子感染する。出生した児がキャリア化しないように、B型肝炎母子感染防止対策では、出生した児に対して抗B型肝炎ヒト免疫グロブリン(抗HBs抗体:HBIG)とHBワクチン(HBs抗原)の投与を行う。
4 誤。梅毒トレポネーマは胎盤を介して感染するが、母乳を介しての感染は知られていない。梅毒トレポネーマに感染した妊婦から胎盤を通じて胎児に感染した場合、流産や死産、先天梅毒を生じる原因となる。
5 正。風しんに対する免疫のない妊婦が妊娠初期に風しんに罹患すると、風しんウイルスが胎児に経胎盤感染し、出生児に先天性風しん症候群(CRS)を引き起こすことがある。CRSの3大症状は心臓奇形、難聴、白内障である。風しんの感染予防には予防接種が効果的であるが、原則、妊娠中には予防接種を受けることができないため、妊娠を予定又は希望する女性は、妊娠前に風しんに対する免疫があるか抗体検査を行うことが推奨されている。