【実務】
1 誤。患者にはジゴキシン中毒の症状が認められないため、副作用はないと考えられる。よって、薬剤師の質問により明らかにしたかったこととして適切ではない。
2 誤。ジゴキシンとリシノプリルとの相互作用の報告はない。よって、薬剤師の質問により明らかにしたかったこととして適切ではない。
3 正。採血時のジゴキシンの血中濃度がトラフ値(投与直前の血中濃度)に近いかを確認するため(ア)の質問をしていると考えられる。ジゴキシンの採血のタイミングは、通常7日目以降の定常状態で、投与直前又は投与後6~8時間経過してからが望ましい。
4 誤。ジゴキシン投与開始から7日後の朝に採血しているため、ジゴキシンの血中濃度は定常状態に達していると考えられる。よって、薬剤師の質問により明らかにしたかったこととして適切ではない。
5 正。測定したジゴキシン(有効血中濃度域:0.5~1.5 ng/mL)の血中濃度は3.7
ng/mLと高値であるが、予想以上の高値血中濃度が得られた場合、ジゴキシン様免疫反応陽性物質(DLIS:digoxin-like immunoreactive
substance)の存在を考える必要がある。内因性のDLISは、新生児、妊婦、腎障害患者及び肝障害患者の検体中で検出されることがあり、酵素免疫測定法によるジゴキシン濃度の測定値を上昇させることがある。その結果、ジゴキシンの真の血中濃度よりも、測定値が高く測定されることがある。ジゴキシンの血中濃度の測定値は測定法によって異なり、測定値が真の血中濃度よりも高く測定された可能性があると判断し、(イ)及び(ウ)の質問をしていると考えられる。