【生物】
１ 正。カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ-1（CPT-1）によるカルニチンのアシル化は、長鎖脂肪酸の分解における律速段階である。長鎖脂肪酸は、細胞質ゾルでアシルCoAに変換される。アシルCoAは、ミトコンドリア外膜に存在するCPT-1によりカルニチンと反応してアシルカルニチンとなり、ミトコンドリア内膜を通過する。
２ 誤。脂肪酸合成反応の中間体であるマロニルCoAは、CPT-1の活性を抑制することで長鎖脂肪酸の分解を阻害する。その結果、脂肪酸を合成する際には分解反応が抑制され、相対的に合成反応が優位となる。
３ 誤。脂肪酸のβ酸化は、1モルのアシルCoAが分解され1モルのアセチルCoAが生じる過程において、2段階の脱水素反応を含む4段階の反応が行われる。アシルCoAから不飽和アシルCoAへの脱水素反応では、FADからFADH2が生成し、ヒドロキシアシルCoAからケトアシルCoAへの脱水素反応では、NAD＋からNADHが生成する。また、β酸化で生じたNADH及びFADH2は、クエン酸回路で生じたNADH及びFADH2と同様にミトコンドリア内膜に存在する電子伝達系で酸化され、酸化的リン酸化によるATP産生に利用される。
４ 正。β酸化により生成したアセチルCoAは、グルコースの分解などにより生成したアセチルCoAと同様にクエン酸回路で代謝を受け、エネルギー産生などに利用される。
５ 誤。極長鎖アシルCoA脱水素酵素（VLCAD）は、長鎖脂肪酸のβ酸化に関与する酵素の一種である。VLCADは、中鎖脂肪酸のβ酸化には直接関与しないため、VLCAD欠損症患者では、中鎖脂肪酸からアセチルCoAを産生することができる。一方、中鎖アシルCoA脱水素酵素（MCAD）は、主に中鎖脂肪酸のβ酸化に関与する酵素である。