正解は 4 メタノールの眼毒性は、メタノールがギ酸に代謝されることによって低減される。

解説

【衛生】
1 正。エタノールの代謝によって生じるアセトアルデヒドにより、頭痛や悪心、嘔吐などが引き起こされる。アセトアルデヒドは悪酔いの原因物質である。エタノールは、主に細胞質に存在するアルコール脱水素酵素(ADH)によってアセトアルデヒドに代謝される。
2 正。アセトアルデヒドを代謝するヒトのアルデヒド脱水素酵素(ALDH)の分子種ALDH2には遺伝子多型があり、活性型のGGタイプ、低活性型のGAタイプ(1/16の活性)、無活性型のAAタイプ(活性ゼロ)の3つに分類される。白色人種、黒色人種はすべて活性型のGGであるが、モンゴロイド(黄色人種)のみに低活性型のGA(45%)、無活性型のAA(5%)が存在する。
3 正。アルコール依存症の患者は、エタノール及びアセトアルデヒドの代謝の過程でビタミンB1が消費されており、ビタミンB1欠乏症であるウェルニッケ脳症や脚気を起こすことがある。
4 誤。メタノールの眼毒性は、メタノールがギ酸に代謝されることで増強する。メタノールの代謝物であるギ酸は、視神経のシトクロムオキシダーゼを阻害することで失明を引き起こす。
5 正。メタノール中毒患者の治療には、ADHやALDHによる代謝を抑制するエタノールやホメピゾールが用いられることがある。エタノールやホメピゾールは、ADHやALDHへの親和性がメタノールよりも高いため、メタノール代謝を抑制することによりギ酸の血中濃度を低く保ち、眼毒性の発現を予防する。