【生物】
卵アレルギーは、食物アレルギーの一種であり、I型アレルギーに分類される。本症例の女児は、卵アレルギーがあり、給食を食べた直後にアナフィラキシー様症状を引き起こしていることから、給食に含まれていた卵成分の摂取によりI型アレルギーを発症したと考えられる。卵アレルギーの主な原因物質(アレルゲン)として、卵白中に含まれるオボアルブミン、オボムコイド、リゾチームなどのタンパク質があげられる。また、I型、II型及びIII型アレルギーは、抗体が関与する即時型アレルギーに分類され、IV型アレルギーはT細胞を主体とする細胞性免疫が関与する遅延型アレルギーに分類される。
1 不適切。II型アレルギーの発症機序に関する記述である。II型アレルギーは、産生された抗体(主にIgG)が補体依存性細胞傷害(CDC)反応や抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)反応などを引き起こす。また、単独では免疫原性を有さず、細胞外マトリックス成分と結合して、抗原性を示す物質はハプテン(不完全抗原)の一種と考えられる。
2 不適切。III型アレルギーの発症機序に関する記述である。III型アレルギーは、産生された抗体(主にIgGやIgM)と抗原が結合して、免疫複合体を形成する。免疫複合体は、補体を活性化して、さらに組織に沈着することで組織傷害を引き起こす。
3 適切。I型アレルギーの発症機序に関する記述である。I型アレルギーでは、産生されたIgEが肥満細胞の細胞膜上に存在するFcε受容体に結合する。このIgEにさらに抗原(アレルゲン)が結合し架橋形成(クロスリンク)することで脱顆粒が起こり、ヒスタミンやロイコトリエンなどのケミカルメディエーターが放出され、じん麻疹や呼吸困難などの症状を引き起こす。
4 不適切。IV型アレルギーの発症機序に関する記述である。IV型アレルギーは、抗原により活性化されたT細胞を主体とする細胞性免疫によるものであり、主にT細胞からサイトカインが放出され、マクロファージの活性化などが起こる。
5 不適切。II型アレルギーの発症機序に関する記述である。II型アレルギーは、産生された抗体(主にIgG)がアレルゲンに結合することで、CDC反応やナチュラルキラー(NK)細胞によるADCC反応などを引き起こす。