正解は 1、4

解説

【物理】
1 正。ドルトンの法則によると、2種類以上の成分により構成される混合気体では、それぞれの気体中分圧は、気体成分のモル比に比例する。よって、常温、常圧における吸気と呼気の成分気体の分圧は、吸気と呼気中の成分気体分子のモル比に比例する。
2 誤。標準大気圧は、1.013×105 Pa1013 hPaである。
計量単位令によると、Torrは水銀柱ミリメートル(mmHg)と同義であり、水銀柱の高さで圧力を示すものである。標準大気圧において、水銀中の1 m2あたりにかかる水銀の力は大気中の気体とつりあっているため、水銀の質量は1×104 kgである。よって、水銀の体積は、1×104 kg /13.5 gmL1 1×104 L /13.5 740.7 L0.7407 m3となり、1m2あたりの水銀柱の高さは、0.7407 m3 /1 m2 0.7407 m741 mmであるため、標準大気圧は741 mmHg、すなわち741 Torrである。
3 誤。問題文より、患者の動脈血酸素飽和度は85%、動脈血はpH 7.4であるため、下記に示すPaO2とヘモグロビン酸素飽和度の関係(酸素解離曲線)から、この患者のPaO2は約60 Torr程度であると推定される。ただし、動脈血酸素飽和度はヘモグロビン酸素飽和度と同じとする。
4 正。血液中のPaCO2が増加すると、組織の毛細血管中でH2CO3となり、HCO3Hに解離し、pHが低下する。このHは、グロビンタンパクに結合し、ヘモグロビンの酸素親和性を低下(ボーア効果)させ、酸素解離曲線は実線から点線のグラフへ移動する。よって、同じPaO2の場合、PaCO2が増加するとヘモグロビン酸素飽和度は低下する。
5 誤。酸素療法は、室内空気より高濃度の酸素を投与することであり、呼吸不全の急性増悪における低酸素血症の改善などに用いられる。酸素療法により、PaO2が増加し相対的にPaCO2が減少すると、H2CO3の濃度が減少するためpHが上昇する。よって、酸素解離曲線は、図の点線に近づかない。