【化学】
1 正。金属錯体において、配位子が入れ替わる化学変化を配位子交換(配位子置換反応)という。オキサリプラチンはキャリアリガンドにシクロヘキサン-1,2-ジアミン(配位子B)を有し、脱離基にオキサレート基(配位子A)を有する白金錯体系抗悪性腫瘍薬であり、オキサレート基(配位子A)が塩化物などと配位子交換し分解する。
2 誤。配位子とは、中心金属に電子対を供与できるイオン又は分子である。酸素原子よりも電気陰性度の低い窒素原子をもつ配位子であるシクロヘキサン-1,2-ジアミン(配位子B)の方がオキサレートイオン(配位子A)よりも配位しやすく、交換されにくい。
3 正。金属錯体の安定性は、中心金属イオンと配位子の両方の性質に影響を受ける。よって、交換相手となる配位子の種類、溶媒のpH及び温度に依存する。
4 正。オキサリプラチンは、配位子交換を通じて、生体内においてジアクオ白金錯体や、モノアクオモノクロロ白金錯体などに変換された後、腫瘍細胞内のDNA鎖と結合することによりDNA鎖内及び鎖間の両者に白金-DNA架橋を形成することで抗がん活性を示す。
5 正。シクロヘキサン-1,2-ジアミンは、2つのキラル中心を有するため(1R,2R)体、(1S,2S)体、(1R,2S)体の3つの立体異性体が存在する。