【薬理】
ニボルマブは、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体であり、T細胞上のPD-1に結合してPD-1とPD-L1/PD-L2の結合を阻害し、抑制シグナルの伝達を遮断してT細胞の活性化を維持し、抗腫瘍作用を示す。
問題文より、併用薬は、ニボルマブと同一細胞における別の標的分子に作用し、併用により作用が増強することから、T細胞上のPD-1とは異なる標的分子に作用し、T細胞活性化作用を示す薬物が該当する。
以上のことから、併用薬は、T細胞上のCTLA-4に結合し、CTLA-4とそのリガンドである抗原提示細胞上のCD80/86との結合を阻害してT細胞における抑制的調節を遮断するイピリムマブであると考えられる。
1 誤。RANKLを標的とする薬物として、デノスマブがある。デノスマブは、RANKLに対するヒト型IgG2モノクローナル抗体であり、膜結合型あるいは可溶型として存在するRANKLに結合し、RANK/RANKL経路を阻害して破骨細胞の活性化を抑制する。その結果、骨吸収を抑制し、がんによる骨病変の進展を抑制する。
2 誤。Bリンパ球表面のCD20を標的とする薬物として、リツキシマブがある。リツキシマブは、抗CD20モノクローナル抗体であり、CD20抗原に特異的に結合して抗腫瘍作用を示す。なお、ヒトCD20抗原は、Pro-B細胞、形質細胞を除くほとんどすべての正常及び腫瘍化したBリンパ球に発現している分化抗原であり、Bリンパ球以外の細胞には発現していない。
3 正。T細胞上のCTLA-4を標的とする薬物として、イピリムマブがある。イピリムマブは、ヒト型抗ヒトCTLA-4モノクローナル抗体であり、CTLA-4とそのリガンドである抗原提示細胞上のCD80/86との結合を阻害して、活性化T細胞の抑制的調節を遮断し、腫瘍抗原特異的なT細胞を増殖及び活性化させ、腫瘍増殖を抑制する。
4 誤。血管内皮細胞膜上のVEGFR-2を標的とする薬物として、ラムシルマブがある。ラムシルマブは、ヒト型抗VEGFR-2モノクローナル抗体であり、VEGF-A、VEGF-C及びVEGF-DのVEGFR-2への結合を阻害し、VEGFR-2の活性化を阻害して腫瘍血管新生を阻害する。
5 誤。腫瘍細胞表面のHER2を標的とする薬物として、トラスツズマブなどがある。トラスツズマブは、抗HER2ヒト化モノクローナル抗体であり、細胞表面のHER2受容体に特異的に結合し、抗腫瘍作用を示す。