正解は 5 転座

【生物】
 フィラデルフィア染色体とは、第9番染色体長腕と、第22番染色体長腕が切断され、切れた部分が相互に交換(相互転座)されることで形成される異常染色体である。第9番染色体長腕上にABL遺伝子が位置し、第22番染色体長腕上にはBCR遺伝子が位置しているため、フィラデルフィア染色体ではBCR-ABL融合遺伝子が形成され、BCR-ABLキメラタンパク質が産生される。なお、フィラデルフィア染色体は慢性骨髄性白血病患者の約90%、急性リンパ性白血病患者の25-40%に観察される。
1 誤。置換とは、DNA中のヌクレオチドが別のヌクレオチドに置き換わることにより、コドン情報が変化する遺伝子異常である。
2 誤。欠失とは、染色体やDNAの一部が失われる変異である。
3 誤。逆位とは、1本の染色体の2ヶ所で切断と再結合が起こり、一連のDNA塩基配列の方向が逆転する染色体異常である。
4 誤。挿入とは、既存のDNA配列に他のDNA配列の一部分が組み込まれる変異である。
5 正。転座とは、染色体の一部が同一もしくは異なる染色体上の他の場所に位置を変える染色体異常である。フィラデルフィア染色体形成時のように、2本の非相同染色体の一部を互いに交換することを特に相互転座という。