【薬理】
設問中の[A]はタモキシフェン、[B]はリュープロレリン酢酸塩である。
1 正。タモキシフェンは、乳がん組織のエストロゲン受容体(ER)上でエストロゲンと競合的に拮抗する。
2 誤。ヒト上皮増殖因子受容体2型(HER2)に対するヒト化モノクローナル抗体製剤としてトラスツズマブなどがある。トラスツズマブは、細胞表面のHER2に特異的に結合した後、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)及び単球を介した抗体依存性細胞障害作用(ADCC)により抗腫瘍作用を示す。
3 誤。レトロゾールなどのアロマターゼ阻害薬に関する記述である。レトロゾールは、脂肪組織及び乳がん細胞のアロマターゼを阻害することにより、アンドロゲンからのエストロゲン生成を抑制する。
4 誤。ブレオマイシンなどに関する記述である。ブレオマイシンは、二価鉄イオン(Fe2+)とキレートを形成し、活性酸素を発生させることによりDNA鎖を非酵素的に切断するため、皮膚がん、肺がんなどに用いられる。
5 誤。リュープロレリンなどの性腺刺激ホルモン放出ホルモン(Gn-RH)誘導体に関する記述である。リュープロレリンは、持続的投与によりGn-RH受容体の脱感作及び受容体数の減少を引き起こし、下垂体からのゴナドトロピンの分泌を抑制し、性ホルモンの分泌を抑制する。